庭のある家に憧れた『花ぶらんこゆれて』

私自身はあまり少女マンガで育った訳ではなく、むしろ少年ジャンプやコロコロコミックといった男の子の読み物を好む少女でした。親戚の中にも同年代の女性は少なくいつも男の子と遊んでいた記憶があります。唯一6つ離れた従姉妹がいましたが幼少期の6つは大人と子供程の違いがありますし、お古の洋服をもらうだけの関係でした。

ある時いつものようにお古がダンボールに入れられて届き、嬉しいわけでもなく中身を漁っていると数冊の漫画が入っていました。服の趣味と同じくひらひらの着いた服を着た女の子が主人公の漫画で、そのときの私はこんなものを読んでるから悪趣味に成るんだと毒づくくらいスカートが苦手でしたし、さして興味も引かれることなく本棚へとしまいこんでお仕舞いにしていたのです。何年も忘れてしまっていたのですが何故かそれを手にとって読み始めてみて、30年以上経った今でもその漫画は本棚に保管されています。

1978年6月号から1980年2月に亘り少女たちのバイブルと言われた「りぼん」に掲載されていた『花ぶらんこゆれて』太刀掛秀子さん作。いま私の手元にあるのは2巻完結の単行本ですが、初代は読み過ぎてバラバラになってしまった為1997年に再刊行されたもの、再刊行されるぐらいやはり人気のある作品なのかと本屋で見つけたときは嬉しく思ったものでした。

主人公のるりは亜麻色の髪が綺麗なハーフの女の子で、日本人の父と日本人の継母と血の繋がらない兄、そして父と継母の間に生まれた病弱な妹と暮らしています。家族の中にいても一人だけ異形である事に悩んだり継母との確執に苦しんだりしながらも、大好きな兄の優しさに守られてとても幸せを感じていました。しかし母の本当に苦しい心のうちを知ってしまった兄はるりを遠ざけるように下宿を始めてしまい、追い討ちをかけるように妹の病状が悪化してしまう。

と、これでもかっとるりが苛められてしまう、読み始めは何て酷い継母なのかと思ってしまいますが、読み進めていくうちに色々な過去が暴かれ、登場人物それぞれに抱えた思いや苦しみが描き出され考えさせられ、最後には暖かさで思わずあふれる涙で前が見えなくなってしまいます。

印象深いのは題名でもある花ぶらんこ、将来は大きなお庭のある家に住んで絶対ブランコをつくると思ったものでした。花びらが散った分だけ心が軽くなれる、そんな魔法のような空間に心から憧れを抱かせてくれる漫画でした。